クリエイティブサマーキャンプ 2017

 『「クリエイティブサマーキャンプ(以下、CSC)」と連動した南相馬市、広野町、川内村の魅力発信事業』を実施。CSCの主催者であるmy Japan及び南相馬市、広野町、川内村と連携し、若手クリエイターの感性と住民の思いや再発見を通じてCSCで制作される動画により発信される3市町村の持つ「まちの魅力」と、「福島県」の本当の姿を日本全国へ発信すべく、CSCの情報発信、周知及び動画の積極的な拡散をおこないました。マスコミと連携し、テレビ・ラジオ・紙面での情報発信とSNS・ホームページによる情報発信により全国に発信しました。
 この事業は、経済産業省より平成29年度地域経済産業活性化対策費補助金(地域の伝統・魅力等の発信支援事業)の交付を受け、実施されました。
クリエイティブサマーキャンプ 2017
クリエイティブサマーキャンプとは
クリエイティブサマーキャンプ 2017

民報新聞掲載

 

今年のクリエイティブサマーキャンプを振り返って

CSC校長 東北新社取締役専務執行役員 CMディレクター 中島 信也

CSC校長 東北新社取締役専務執行役員 CMディレクター 中島信也  今年のクリエイティブサマーキャンプ三地域は目に見えない被害が残り、そこから復興しようとする地域だったので、とてもデリケートな問題を抱えていると感じた。物理的な復興とは違うため、クリエイティブを作る上ではっきりしないし、生活する人がどうやって元気になっていくか、そこに目を付けないと難しかったのではないか。しかし、それぞれが頑張って、魅力あるCMができ上がった。  震災から六年半、福島の印象は子どもたちの声が元気で、何よりもお米がとっても美味しかった。そして地元の方々のたくましさ、エネルギーを感じることができた。

 

主催者代表 my Japan理事長 岡本 俊太郎也

my Japan理事長 岡本俊太郎也  福島県内浜通りの三市町村でクリエイティブサマーキャンプをやることに難しさを感じたが、同じ県であってもそれぞれ違いがあり、最終的に各地域の魅力が伝わる映像ができ上がったので良かった。最優秀賞の『うまみworks』や統計学を映像にした『ザ・ビジターズ』などはアイデアが素晴らしかった。
 福島復興に前向きに進んでいる姿を参加者側も感じ、その姿が映像になった作品が多かった。今回ご協力いただいた関係各位に感謝したい。

 

あいさつ

NPO法人ドリームサポート福島 理事長 阿部 幹郎

NPO法人ドリームサポート福島 理事長 阿部幹郎  浜通りの生活状況は六年経っても元に戻れていない。私たちはこれまで、福島市を中心に活動をしてきたが、今回は「浜通りを何とかしたい」という気持ちからmy Japanの「クリエイティブサマーキャンプ」と連携し、南相馬市、広野町、川内村を県外で生活する若者の視点で発信するお手伝いをしたいと考え、実施にいたった。  県民が気付かない福島の良さがまだまだあることを知ってほしいし、私たちは、これからも福島ファンを増やすお手伝いをしていきたい。

 

ロケハン/スクール

 ロケハンは、三市町村それぞれ二日間行われた。
 広野町は、初日に二ツ沼公園内でパークゴルフ体験、広野町盆踊り保存会による盆踊りを見学、蕎麦打ち体験をした。翌日は、県立ふたば未来学園高を訪れた後、直売所など町内視察をした。
 南相馬市では、初日に原町区一番蔵で相馬野馬追の紹介、室原サーフボード製作所を見学、小高浮舟ふれあい広場で小高区の説明を受けた。翌日は、真野川漁港で漁船乗船体験、セデッテかしまを見学。中ノ郷騎馬会長宅で相馬野馬追の話を聞き、木幡光政さん宅では馬とふれあい、野馬追会場である雲雀ケ丘祭場地を見学した。
 川内村では、初日に千翁川と平状沼を見学、CafeAmazon(カフェアメィゾン)やいわなの郷を訪れた。翌日は、阿武隈民芸館、天山文庫を見学後、長福寺周辺を散歩。コドモエナジーの建材製造工場、太平ヴィンヤードを訪れた。
 ロケハンの全行程を終えると、本番撮影に向けてスクールを全三回実施。最終回では東京都目黒区のImpact HUB Tokyoに参加者が一堂に集まり、チームごとに企画構成を発表。CSC校長の中島信也さんをはじめ、銀河ライターの河尻亨一さん、博報堂の須田和博さんなどからアドバイスを受けた。
スクール スクール
7/15(土)・22(土)・29(土)
ロケハン ロケハン ロケハン
南相馬市 6/24(土)・25(日) 広野町 6/24(土)・25(日)> 川内村 7/1(土)・2(日)

 

最終審査会

最優秀賞

最優秀賞
最優秀賞に輝いた「うまみworks」の(右から)
小圷さん、杉本さん、吉川さんとCSC校長の中島さん
「クリエイティブサマーキャンプ」の最終審査会では、『うまみworks』が最優秀賞に輝いた。
三カ月間の集大成に向け参加者らは、現地で仕上げた映像に修正を加え、より良い作品を作り上げ最終審査会に臨んだ。  全てのチームが完成した映像を上映し、企画コンセプトなどを発表。その後、CSC校長の中島信也さんら審査員が別室で、審査し授賞をした。授賞後は審査員らによる、講評が行われ、審査の経緯やそれぞれの作品についてのコメントを語った。

 

最優秀賞インタビュー うまみworks 杉本 拓也

 本番直前までどんな企画にするか決まらず、また、準備に時間もさけなかった。しかし、投げやりにならず、チームみんなでしっかりやろうと準備に取り掛かったのが良かった。  東京にいると、南相馬市に子どもたちは住めないのではないか、と思っていた。想像とは違い、皆さんが普通に生活をしていたので、何を伝えたらよいのか、最初は悩んだ。  しかし、子どもたちが元気で、その子どもたちには夢があったので、その夢を伝えたいと感じ、最終的に絵馬アニメーションにたどりついた。  この子どもたちがいる限り、南相馬には未来がある。その思いで「夢駆けるまち」という作品ができ上がり、最優秀賞をいただけたので、嬉しかった。

 

最優秀賞

 

地域優秀賞 -南相馬市部門-
「夢駆けるまち」 うまみworks
杉本拓也 吉川詩歩 小圷雅貴

地域優秀賞 -広野町部門-
「統計でみる広野町」ザ・ビジターズ
中野裕一郎 譲原里奈 榊原蕉門

地域優秀賞 -川内村部門-
「川内村で猪狩に会え」 うな重
鵜沢一平 石川みちる 大崎そよ風

特別賞
「統計でみる広野町」ザ・ビジターズ
中野裕一郎 譲原里奈 榊原蕉門

特別賞
「初体験」 髭JUMP
山中康司 馬場マリ子 平井諒


 

本番撮影 広野町

広野町 地元の大人、子ども、
町ぐるみの協力に
熱意と温かさ感じる。

広野町撮影の様子

 温暖な気候から春が訪れるのが早く「東北に春を告げる町」とも呼ばれている広野町では、十四人が五組に分かれて町内各地を撮影。町民の憩いの場、二ツ沼公園をロケ地に選んだ『サブカル男とメンヘラ女.』は盆踊りを楽しむ人たち、『tsukulu』は笛を奏でる若者を映像に収めた。広野町サッカー場では『ザ・ビジターズ』がグラフ軸をかたどったパネルを掲げながら、その背景にコートを駆け巡りボールを追い掛ける高校生たちを撮影。町のランドマークである広野火力発電所の煙突にもレンズを向けた。『Spark』は、町が童謡「とんぼのめがね」の発祥の地であることから、町が取り組んでいる童謡のまちづくりに着目。毎年開催されているひろの童謡まつりでは全国から歌詞を公募して曲を付け、童謡を生み出している。そこで『Spark』も町の魅力いっぱいの童謡を創作して、撮影ではその童謡に地元の子どもたちの歌声をのせた。『ふたりぼっち』は、町の海岸線に沿って設置されている防災緑地へ向かった。同世代同士話し合いながら、若者らしい元気な映像を作り上げていった。出演者の広野町盆踊り保存会の渡邉克幸さんは「広野を全国にPRできる機会で嬉しい」と話した。
 撮影が終わると、チームごとに編集作業へ。それぞれの思いやメッセージを込めた作品作りに取り組んでいた。参加者の一人で、地域創生を学ぶ龍谷大四年の野上萌さんは「広野町は、童心に帰るほど自然豊かで解放感がある魅力的なところ。童謡をテーマにしたまちづくりも興味をもった」と語った。大阪府出身で映像会社に勤務する会社員の杉若國太郎さんは「町全体の協力のおかげで、スムーズに撮影を進めることができた。地元の方たちの心の温かさを感じられて嬉しかった」と振り返った。

 

本番撮影 川内村

川内村
村の大自然を眺め
クリエイターの
イメージ広がる

川内村撮影のお湯す

 県内屈指の豊かな自然に囲まれた川内村では十五人の参加者がチームごとにロケ地へ向けて出発。村を流れる天翁川を舞台にした『厳林田』は、予期せぬ雨の中でも改善策を探りながら撮影に臨んでいた。ドローンでの撮影にも挑戦し、村の大自然を上空からダイナミックに撮った。村の観光施設「いわなの郷」では、名産のイワナの養殖を行っており、新鮮なイワナをその場で焼いて食べることもできる。そこで二チームがイワナをモチーフに撮影。『あやのとおり』は、炭火焼きのイワナを美味しそうに頬張る様子、『うな重』はイワナを持ち走り去る様子を地元の方と試行錯誤をしながら撮り進めていた。撮影に参加した川内村役場の高森亮輔さんは「村に住んでいる私にとっては当たり前の光景が、県外からの若者にとっては新鮮に見えていることを感じた。その視点は新しい村の良さを引き出すきっかけになるのではと期待している」と話し、同じく出演者でもある川内村役場の西山恭司さんは「参加者のイメージをくみながら撮影に臨んだ。村をどのように表現してくれるのか楽しみだ」と語った。
 二日がかりの撮影が終わると、編集作業がスタート。チームごとに撮影した映像をひとつひとつ確認し、意見を交わしながら作業に取り組んでいた。映像制作に興味があり参加した中央大一年の大崎そよ風さんは「たくさんの地元の方と交流をしながら楽しく撮影ができた。同世代の若者へ向けたおもしろい映像を作りたい」と話し、愛知県出身の会社員、林昭裕さんは「メンバーとの意見交換で撮影中も新たなアイデアが生まれた。念願のドローンでの撮影にも挑戦できて良い経験となった」と語った。

 

本番撮影 南相馬市

南相馬市
若者の視点
地元観光振興に
新たな発見も

南相馬市撮影の様子

 国の重要無形民俗文化財「相馬野馬追」の開催地として名高い南相馬市。十三人の参加者たちは三人一組のチームで市内各地の撮影に臨んだ。『髭JUMP』は、引退名馬を繋養している木幡光政さん宅を訪れた。撮影シーンは木幡さんへのインタビュー。子どもの頃から馬がそばにいたと話す木幡さんの馬との関わりについて語る様子を撮影した。『どうぶつヨーチ』は、馬が悠然と道路を歩く様子にカメラを向け、イメージを形にするべく汗を流していた。多くの絵馬が奉納されている小高区の小高神社では『うまみworks』が撮影。境内で絵馬を奉納しているシーンをレンズに収めた。小高商工会館では、『そむ』が一千余年の伝統を誇る相馬野馬追の姿を映像で伝えようと試行錯誤。実際に相馬野馬追に参加したことのある地元の方に焦点を当てて撮り進めていった。参加者たちの案内役を務めた南相馬市役所の内城弘志さんは「発想豊かな若者の視点で制作した映像は、新たな地域資源の発見になると思う。これからの南相馬市の観光振興に取り入れていきたい」と今プログラムへの期待を語った。
 すべての撮影を終えた参加者は、編集作業へとりかかる。CMプランナーを目指す中央大一年の小圷雅貴さんは「幅広い年齢層の方に南相馬市の魅力を伝えたい。そして何より地元の方に喜ばれる映像にしたい」と意気込みを話し、東京の広告会社に勤める森下夏樹さんは「震災のイメージが根強かったが、実際に来てみると魅力に溢れていて、映像にしたいという思いが強くなった。出演者である地元の方の表情も良くて、撮影も順調に進められた」と一日を振り返った。

 

Creative Summer Camp 2017 南相馬市・川内村・広野町
映像作品リスト

広 野 町

1 2 3
ザ・ビジターズ
「統計でみる広野町」
Spark
「トンネルくぐれば。」
サブカル男とメンヘラ女.
「復興の先へ進む町、広野町。」
4 5
ふたりぼっち
「ヒーローのまち」
tsukulu
「たんたんぺろぺろ?」

 

川 内 村

1 2 3
うな重
「川内村で猪狩に会え」
あやのとおり
「川内村のいわな」
ましゅまろ
「空の深さを知る蛙」
4 5
厳林田
「もっと知りたい川内村」
カルテット
「かえる!かえる!かえる!」

 

南 相 馬 市

1 2 3
うまみworks
「夢駆けるまち」
どうぶつヨーチ
「車窓」
髭JUMP
「初体験」
4 5
クラスメイツ
「馬≧女篇」
そむ
「1000年間、冷めない熱。」

 

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